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不良少年の夢

上映会場:松戸市 松戸サンリオシアター 6F
上映時間:2005年10月15日 16:15〜/ 2005年10月16日 16:15〜

文部科学省選定
2005年/日本語/116分

監督:花堂純次

1955年鹿児島生まれ。77年日大芸術学部映画学科卒。84年『愛の嵐』(CX系)で高視聴率を獲得。鮮烈な監督デビューを果す。以降ドラマ『永遠の子』『ホテルウーマン』『別れさせ屋』など数多く手がけ、01年、若者に高い支持を得たコミック『羊のうた』の映画化で監督デビュー。同年の東京国際映画祭正式招待作品に選ばれ高い評価を得る。02年に、中学3年で失明しながらも、全国初の全盲の一般教員となった河合純一氏を描くキネマ東京作品『夢追いけて』を監督。今回も若者たちの繊細な心を描く手腕が買われ監督を務めることとなった。

物語

1988年。どこにも行き場を失った札付の不良少年義家弘介が、雪の余市駅に降り立つ。親から家を出され、里親と暮らしていた彼は「全国から中退者を受け入れ始めた高校がある」と勧められやって来たのだ。彼にとって北星高校はまさに「最後の居場所」。だが、これまで他人への敵愾心剥き出しで生きてきた彼が新しい環境にすんなり順応できるはずもなく、編入早々、寮のワルたちと凄まじい衝突を引き起こす。「ここを出て行け。それが落とし前だ!」と宣告された義家は信じがたい落とし前をつける。自分の居場所を、まさしく死守したのだ。
クラス担任の安達俊子は「ガンバ!」が口癖のおっとりした熱血先生で、掃除当番をさぼったぐらいで何処までも追いかけて来る。そんな彼女にまるで異星人と出会ったように新鮮な驚きを感じる義家。その後、寮で大暴れし強制退寮処分になった義家たちワルグループは、生活指導の岸本の奔走で滝本夫妻の寮に入る。そこで義家は、生まれて初めての家庭の温もりを知る。風邪で寝込んだ彼を親身に介抱する滝本に「あんたら、何でそんなにやさしく出来るんだ。赤の他人なのに…」。あふれ出る熱い涙に、愛を知らなかった少年の心の氷が溶けて行く…。

解説

'65年創設の北星学園余市高校は、生徒に寄り添いながら、彼らの自立を目指す教育を貫いてきたが、'87年、全国に吹き荒れた少子化・生徒減の嵐に廃校の瀬戸際に追い込まれる。進学やスポーツを看板に生き残ろうとする高校が多い中、そこからはじき出された子供たちを立ち直らせるための高校が全国で一つくらい生き残ってもよいのではと、同校は、日本で初めて「高校中退者も受け入れる」高校となる。本映画は'88年、同校に編入して来たある不良少年が、北星の教師や余市の大人たちと出会い、ふれあい、次第に心を開き、やがて母校の教師として再び余市に帰って来るまでの実話をもとに描く作品である。
今、「大人が大嫌い」という子がたくさんいる。また、子供だけで閉鎖社会を築き、そのためイジメや不登校の温床と化している学校もある。しかし余市には、高校中退者や小・中校時代から不登校の生徒でも「みんなと同じように高校に行きたい」という心を尊重し、行き場のない子ども達を全国から受け入れ、今日も奮闘している高校があるのだ。本作は心の氷河時代に「教育の原点」の姿を問う渾身作である。

スタッフ

  • 製作:高橋松男
    プロデューサー:三村順一 霜村 裕 野辺 忠彦
    アソシエイト・ プロデューサー:竹村友里
    原作:義家弘介(「不良少年の夢」光文社刊)
    脚本:中岡京平 花堂純次
    音楽:安川午朗
    監督:花堂 純次
    撮影:佐々木原保志
    照明:金沢正夫
    美術:金勝浩一
    録音:岩倉雅之
    編集:奥原好幸
    記録:甲斐哲子
    キャスティング:阿部一夫
    助監督:水戸敏博
    制作担当:宮川健治
    企画:高橋松男事務所
    製作:アマナスキネマ東京

キャスト

  • 松山ケンイチ、田中 健、真野響子、武藤敬司(全日本プロレス)、伴 杏里、竹内都子、片桐竜次、でんでん、二木てるみ
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