<招待作品> SISTER -妹-

(2005/JAPAN/90min)(聴覚障害者向け日本語字幕付)

監督

大塚祐吉/Yukichi Otsuka

1968年9月30日生まれ。てんびん座。1997年2月に自律神経失調症を患い、その後も不安定な精神状態の中で映画制作を続けている。近年はパニック障害も併発している。

スタッフ

プロデューサー:石田 友寛・甲斐 路直
監督/脚本/撮影:大塚 祐吉
脚本:星野 秀樹
ライティングデザイナー:根本 健一
サウンドデザイナー:臼井 勝
音楽:秋谷 学
ステディーカムオペレータ:田口 健市
スチールフォトグラファー:ベンジャミン・リー

キャスト

高橋タケシ:宮本大誠
三島ユウジ:川本淳市
三島ユキ:國井まりあ
石本:哀川翔
高橋ジロウ:松方弘樹

上映会場:

我孫子 福祉ふれあいプラザ[Abiko-city fukushi-fureai plaza]

上映時間:

2006/10/15,Sun 10:20-

千葉県有数の剣道場で師範代を勤めるタケシ(35)はいまだ女性関係に縁が無く専制君主的な父ジロウが支配する実家で暮らしていた。そんなタケシの友人、ユウジ(34)は外国人相手に盗難車を売り捌き、異性関係も華やかである。ユウジの妹ユキ(23)を思いつつ今ひとつ行動を起こせないタケシは、自分の人生を変えるべく父親との歪んだ親子関係から決別し家を出てユウジと行動を共にするようになるが、それまで見えなかったユウジ、ユキ、兄弟の知られざる一面を垣間見ることになる。
現代日本において大人になりきれない大人が急増しているのは何故でしょうか?これは「父子密着と母子密着」にその原因があると考えられます。家庭内における規律・規範や過干渉。本来子供のしつけとは、将来子供が自立して社会でやっていけることを目指して行うべきで、それを忘れると、親の気分に左右され、その場限りになりかねません。規律・規範の代名詞である「剣道」を通して、それと相反する精神を持った、大人になりきれない男の成長のドラマです。様々な社会問題の蔓延・・・若者の貞操観念の欠如、不法就労の外国人問題、定職に就かないフリーター等、現代日本社会は時代の変化に対応できず、次々と問題が噴出しています。こうした閉塞的な社会を肌身で感じている日本人は、現象的に「慢性的なうつ状態」を発症しているのです。そんな現代日本を問題視した上で企画された本作「シスター」は、このような日本特有の「家庭」や「社会」に育てられてきた、いまだ自立しきれない「中年に差しかかった男」の「歪んだ精神からの卒業」という闘いのドラマでもあります。極めて日本的な「剣道」の舞台となる道場のビジュアルイメージが特徴づける「SISTER」は、これまで多くの日本映画が「日本の伝統」を繰り返し描いてきたフラットな映像とは一線を画す、「光と影」を深遠で美的な映像で表現し、日本国内のみならず、欧米でも十分注目されるべき作品となるでしょう。

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